【Solo 401(k)】
米国では、従業員を持たない事業主(法人・個人)の老後の年金対策の1つとして、Solo 401(k)と呼ばれる年金プランがあります。従来型の確定拠出年金(defined contribution plan)では、所得控除可能な最大掛金は法人給与の25%、又は個人事業所得の20%ですが、Solo401(k)プランでは、以下の2点において掛金を拠出する事が可能です。
① 法人給与、又は個人事業所得から$16,500 (50歳以上は$22,000)まで。 ② ①に加え、法人給与の25%、又は個人事業所得の20%まで。
例えば、年齢40歳、従業員を持たず、自身が経営する法人からの給与が年間$80,000である場合、所得控除可能な最大掛金は$36,500となります。内訳は以下の通りです。
① $16,500:拠出後の課税所得は$63,500($80,000 - $16,500) ② $20,000:法人給与$80,000 の 25%
一方、従来型の確定拠出年金での最大掛金は$20,000(法人給与$80,000 の 25%)までとなっているので、課税繰延年金への掛金を出来るだけ多くしたい方にはSolo 401(k)のメリットは大きいと言えるでしょう。
しかし、Solo401(k)での最大掛金は$49,000(50歳以上は$54,500)を超えてはならない決まりがある為、これを超える場合は注意が必要となります。
【Family 401(k)】
事業主(法人・個人)が、配偶者などの家族の一員を従業員として雇用した場合の年金対策として、Family 401(k)と呼ばれる年金プランがあります。この場合、事業主と従業員それぞれが、Solo401(k)と同様の掛金を拠出する事ができ、家族全体としての掛金を最大化する事ができます。
ただし、上述のいずれのプランにおいても、運営計画等を書面で作成する必要がある為、加入をご検討される際には専門家のアドバイスをお求めになる事をお勧め致します。
【会社から株主への分配】
会社が株主へ何らかの分配を行う場合、それが株主にとって課税所得となるか否か注意が必要です。通常、分配は以下の3段階の順序で行われます。
第1段階:利益剰余金からの分配
分配の第1段階は、利益剰余金からの分配になります。会社から株主への利益配当として配当課税が課されます。
第2段階:株主持分の払い戻し
利益剰余金が全て配当された後の分配は、非課税の株主持分の払い戻しとなります。
第3段階:追加の分配
株主持分が全て払い戻された後、追加の分配が行われる場合は資本収益(capital gain)として課税されます。
また、会社からの分配を株主への非課税のローンとして取り扱いたい場合は、当該支払がローンである事や返済期日、利子の有無などを書面にて残す必要があります。
【Employee(従業員)vs Independent Contractor(委託契約者)】
労働者が会社にとって従業員であるか、委託契約者であるかにより、会社や労働者の負担すべき費用やメリットに大きな違いがでてきます。まず、従業員の場合は、社会保障やその他保険等、会社負担の費用が増えますが、委託契約では契約料や必要経費のみとなります。また、委託契約の場合、労働者はかかる費用を個人の申告書(Schedule C)で控除できるなどのメリットがあります。
どちらの労働形態が適しているかは、会社や労働者が状況に応じて適宜判断をする必要がありますが、選択した労働形態が法的に有効かどうかの判断は業務内容の実態を考慮されますので注意が必要です。業務内容の実態としては、以下の点が挙げられます。
- 委託契約者の業務の指揮・監督の範囲。 - 雇用主と委託契約者のどちらがオフィススペースや資材・道具の提供を行っているか。 - 契約期間(プロジェクトベース等)、関係の永続性の度合い。 - 委託契約者が社内の一般業務とは異なった職業・ビジネスに従事しているか。 - 労働者がプロジェクトベースで報酬を得るのか。時間に対して報酬を得るのか。
単に契約書に「労働者は委託契約者である」と明記されているだけでは、労働者が従業員ではない事を証明できません。 |
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