古くて新しい米国税務対策の一つに、Sコープ(S Corporation)の活用がある。 ただし、最大の弱点は外国人株主にはSコープは活用できないことである。 あくまで米国居住者株主、米国法人株主に限定される。 そしてこのSコープにまつわる税務対策の骨子は、社会保険税(FICA Tax)を中心としたもの。 とりわけ、この2013年度からのオバマ税制による社会保険税制改革のもとで、さらに脚光を浴びるはずである。 つまり、
・ 高額所得者の給与に対する0.9%の追加メディケアータックス。
・ 高額所得者の純投資所得に対する3.8%の追加メディケアー・サーチャージ(タックス)。
のために。 一方で通常の社会保険税は2013年度以降、
・ 個人負担SS Tax6.2%($113,700に達するまで課税)とメディケアー税1.45%(課税対象上限なし)の合計7.65%。
・ 雇用主負担、同上。
・ 自営業者は上記ともに負担、すなはち7.65%x2=15.3%。
では、具体例で説明します。
・ 愛子さんは米国居住の一人事業主、1人LLC(Single-member LLC)か、S Corporationのいずれかを検討している。
・ 2013年度の事業所得は$100,000。 ただし、SEP(個人事業者年金プラン)への$10,000拠出前、医療保険料年間$12,000拠出前、とする。
・ まずは、SMLLCを選択した場合、愛子さんのSE Tax(自営業者社会保険税)は:
$100,000X0.9235X15.3%=$14,130
・ それに対し、Sコープを選択し、かつ、当該会社からの年間給与を$50,000に設定、そして、SEPに$10,000、医療保険料$12,000を支払い、残額$28,000を愛子さんはSコープからの現金配当を受ける場合、愛子さんの社会保険税(FICA Tax)は:
$50,000x15.3%=$7,650
・ すなはち、Sコープによって愛子さんは、毎年$6,480もの社会保険税を節約できる。
このSコープ戦術活用の留意事項は以下の通り。
① 次のいずれかの実働要件を一つは満たすこと。
・ 年間500時間超の実働。
・ 年間100時間超で、かつそれが他のいずれの株主従業員、もしくは非株主従業員以上であること。
・ 実働のほとんど全てを当該Sコープで従事していること。
② Sコープから合理的金額の年間給与を得ること。 合理的給与の基準は様々な判例があり、要は事業規模、業種、仕事の内容、貢献度等により総合的に検討。 |