米国における離婚、もしくは別居の場合の慰謝料支払いに関する税務として、 ・ 支払い側での所得控除(IRC215条) ・ 受領者側での所得加算(IRC71条) としている。 支払い側での所得控除は個別控除(Itemize Deduction)ではなく、全額所得控除(いわゆるAbove-the-line Deduction)であり、結果、その要件は以下のように厳格である。 それらの要件を満たさない場合には、支払い側では所得控除否認、一方、受領者側では非課税収入の恩恵に与る。 米国税法がどちら側に加勢しているのか、ある程度は推測できるが、事実認定次第では錯綜している。 厳格な要件として、下記「全ての」要件を満たさねばならない。 米国での離婚も税務上はなかなか大変である。 ① 離婚、別居同意書に慰謝料の内容、諸条件が明示されていること。 ② 慰謝料は離婚、別居当事者間で直接授受されること。 ただし、上記合意書で、担当弁護士、あるいはモーゲージ金融機関などに直接支払うことを合意している場合を除く。 ③ 事実認定の問題として、離婚、別居同意書成立後、「同居」ないし、合算申告がないこと。 ④ 慰謝料支払いは金銭でなされること。 ⑤ 支払い内容として、「養育費(Child support)」ではないこと。 ⑥ 慰謝料受領者のソーシャル・セキュリチー番号を明記すること。 ⑦ 受領者が死亡後は「慰謝料」の支払い義務がないこと。 仮に離婚、別居同意書作成で、該当州法にもとずき、受領者の死亡後も「慰謝料」の支払い側に支払い義務を継続させる内容となっている場合、当該支払いは米国連邦税務上は慰謝料には該当しないので、州法との関連性には留意を要する。 ・ 例えば、フロリダ州納税者のケースで、離婚同意書に毎月の「慰謝料」支払い$5000を60ヶ月間、、と規定し、受領者死亡後は支払い義務がない旨の明示がなされていないことで、慰謝料支払い側の所得控除をIRSは否認した。 ・ インヂアナ州のケースでは、離婚合意書に「慰謝料」支払いとして、居住していた家のモーゲージ支払いに充当する旨規定され、「慰謝料」受領者が死亡後には当該モーゲージ支払いが終了する旨の明示がなされていないことで、IRSは当該「慰謝料」の所得控除を否認。 |
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