2013年2月(その​3):​米国税法上の「独立自​営業者」と「みなし従​業員」の判定基準

posted Feb 4, 2013, 8:06 PM by Unknown user   [ updated Feb 4, 2013, 8:10 PM ]
古く、かつ新しい、納税者とIRSとの間で最も紛争が絶えない税務問題の一つ。 それは企業家精神、かつ独立心旺盛、名よりも実を取る、企業主となることがアメリカンドリーム、、などの米国実務の本質にもよる。 寄らば大樹、終身雇用、生涯勤め上げることを美徳、名誉とする日本国の慣習からは想像が困難な分野の一つ。

ある「労働」の使用人側が、当該「労働者」を独立自営業者としうるか、みなし従業員(Deemed Employee)としなければならないか、の問題。 従業員とみなされる場合、使用者つまりは雇用主としての義務は:
 
・ 所得税の源泉徴収義務
 
・ 社会保険税(FICA Tax)の源泉徴収義務、雇用主分負担義務
 
・ 失業保険税負担義務
 
・ 関連する上記の四半期申告報告義務
 
・ そして最大の難関は、様々な福利厚生、医療保険、退職年金、有給休暇、傷病休暇などなどにつき、他の正式従業員との非差別化条項の考慮義務。

これまではIRSのRevenue Ruling 87-41にある20項目ものチェックポイントに即して判定を試みていたが、あまりにも実務が錯綜、紛争が絶えず、最新の判例は下記の
10項目に絞って判定するようになっている。
 
① コントロールの程度。 仕事の進め方、裁量全般について、使用者側がイニシアチブ、権限を持っている限りは原則、従業員であり独立自営業者たりえない。
 
② 仕事をする場所、使用備品に関するコスト負担。
 
③ 仕事の対価、報酬が仕事毎に、あるいは作業時間に応じて支払われるか否か。
 
④ 仕事の成果を得られるか否か、仕事の結果責任の負担内容、’程度。
 
⑤ 雇用契約解除の自由性(Employment at will)の有無。 それがあれば従業員となしうる。
 
⑥ 仕事の内容が、使用者の事業のコア部分に関連するか否か。 すなはち、他の使用者、事業に転用する余地があるか否か。 なければ従業員。
 
⑦ 雇用契約の長期性、永続性の実体。 あれば従業員。
 
⑧ 使用主とワーカーの契約関係、⑥、⑦の判定ポイントとある面重複。
 
⑨ 正式従業員と同様の福利厚生を付与しているか否か。 あれば従業員。
 
⑩ 契約締結内容として、特殊技能、専門性を要件としているか否か。 あれば独立自営業者。

以上を総合的に考慮して判定。