過去早や20年近く、喧々諤々、米国の恥部、と言える国民皆医療保険制度に関する発展途上国的、貧富の差拡大路線的、概観についての最小前進、最新状況の解説。 ① 2013年以前では、メヂケアータックス(老齢者医療保険)は給与所得、自営業者所得に対して2.9%(本人負担1.45%と雇用主負担1.45%)であったが、2013年より、独身者$200,000超、夫婦合算申告者$250,000超の富裕層では、0.9%の追加メヂケアータックスがチャージされる。つまり、これまではいわゆるFICAタックスの個人負担税率は7.65%(SSタックス6.2%+メヂケアー1.45%)であったが、富裕層についてはそれが6.2%+1.45%+0.9%=8.55%となる。 そして、これは源泉徴収方式での納付(年間累計給与が$200,000超となった時点から、超過部分に対して源泉徴収)となるが、複数の給与所得がある納税者の場合、各雇用主レベルでの適確な源泉徴収実務が徹底せず結果、源泉徴収納付不足があった場合には、個人納税者の1040でもって追加納税義務を負担する。 さらには、0.9%はあくまで富裕層付加税の性質からして個人負担のみで雇用主負担はない。 ② 同様の富裕層レベルでの純投資所得(長期キャピタルゲイン、配当など)に対する3.8%のメヂケアー・サーチャージ。ただしNRA(非居住外国人)には適用されない。同税は予定納税に加算して納税。この純投資所得の構成要素、算定方式は以下の通り。 ステップ1:対象所得合算。 ・ 投資目的資産の売却益、住宅売却益のうちの課税対象売却益(独身者で$250,000、夫婦合算で$500,000益金不算入後の対象超過益金)。 ・ ムーチュアルファンドからのキャピタルゲイン。 ・ 配当金。 ・ 受取利息。 ・ 家賃、賃貸所得。 ・ ロイヤルチー所得。 ・ 年金所得。 ・ その他、パートナーシップ、Sコープ投資を通じての受動的所得。 ・ 金融、商品取引からの所得。 ステップ2: それらから関連経費を控除したものが純投資所得。 事例1: 2013年度、Aさん夫妻のMAGI所得は$325,000で、その中に$95,000の純投資所得が含まれるとする。 Aさん夫妻の3.8%メヂケアー・サーチャージの課税対象金額は、$325,000-$250,000=$75,000相当分である。 事例2: 2013年度、Bさんは独身でMAGI所得が$325,000で、その中に$95,000の純投資所得が含まれるとする。 Bさんの3.8%メヂケアー・サーチャージの課税対象金額は$95,000全額である。 何故なら同金額は、$325,000-$200,000=$125,000の範囲内であるから。 事例3: 2013年度、Cさんは独身で居住用住宅売却益$800,000とその他のMAGI所得が$300,000、さらにその中に他の純投資所得が$85,000含まれているとする。 この場合、まず居住用住宅売却益非課税限度額$250,000(独身者の場合、夫婦合算では$500,000)を活用できるので、純投資所得は、 $800,000-$250,000+$85,000=$635,000、 そして、この金額は下記限度額、 $550,000+$300,000-$200,000=$650,000の範囲内にあるので、$635,000全額に対し3.8%のメヂケアー・サーチャージが課税される。 ③ オバマケアー税制のもと、税法IRC Sec.5000Aでは、2014年から米国市民、米国居住者は個人の義務として、的確な健康保険に加入しない場合ペナルチーを課される、としている。 個人にも責任を取らせるところが独立覇気の米国独特である。 ④ 一方、雇用主、企業に対しては、50名以上のフルタイム従業員を雇用する場合、雇用主の責任として的確な健康保険を提供しない場合には、従業員一人につき月額$167(年間$2000)までのペナルチーを課す。 ただし、中小企業保護として、ペナルチー査定は30名までは課さないことにしている。 例えば、51名の企業主が健康保険を提供しない場合、雇用主に対するペナルチーは、年間$2000x21名分=$42,000。 ⑤ またペナルチーのようなネガチブ・インセンチブばかりではなく、中小企業雇用主の健康保険提供促進のために、税額控除の恩典を与える。 ⑥ これまた独特なオバマケアー税制。 2018年から、キャデラック(豪華)健康保険プランに対する40%のエクサイズ税(物品税)課税。該当する対象健康保険とは、一人年間$10,200超、家族で$27,500超のプラン。 退職者個人では年間$11,850超、退職者家族では年間$30,950超の健康保険プランに同エクサイズ税を課す。 |
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