2011年3月21日 米国からの東日本大震災への義援金(寄付金)について

posted Mar 21, 2011, 2:29 PM by Unknown user   [ updated Mar 21, 2011, 3:53 PM ]
未曾有の震災に関する報道の中に、比較的小さく「、、、イチロー選手は1億円、松井選手は5千万円をそれぞれ寄付、、、」という記事がありました。

この「時局多難」な時期に、会計士は赤面したくなるような「解説」程度しかできないのか、、、とのご批判を覚悟の上で、老婆心ながらお知らせします。以下、箇条書きでの留意事項のみ。詳細はあらためて各担当の聡明な会計士、税理士にセカンド・オピニオン入手をお勧めします。

・ イチロー選手も松井選手も米国居住者で、米国納税者であること。
・ したがって、これらの義援金、寄付金について米国税法上、寄付金としての控除をとるためには必ず、米国税法上認知された非営利組織、NPO などを経由せざるをえないこと。
・ 個人納税者の寄付金は、当該年度の所得(正確には調整後総所得、Adjusted Gross Income)の50%を限度として控除可能であること。しかし、超過額は将来5年間に渡って繰り越し可能、つまり、将来5年間の所得と相殺可能であること。
・ 法人としての寄付金は、個人と異なり一定項目調整後の課税所得の10%を限度として損金算入可能であること。また超過額は個人同様、将来5年間に渡って繰り越しが可能であること。

詳細はもう少し複雑ですが、当面の総論のみ記しておきます。

こうした税法の総論の背景は、税法は国際会計基準のような普遍的なものでは決してなく、それよりもむしろ各国の国家主権の主張、表現であり、日本国で認知された非営利組織、団体、法人も、直ちには米国での非営利組織、団体、法人ではない、ということです。したがって、米国側で時限立法などがなされない限り、米国納税者は今回の東日本大震災向けの義援金などにつき、米国税法上の恩典を得るためには、米国税法上で認知された非営利組織、団体、法人に向けて実施する必要があります。